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経皮経肝胆管ドレナージ(PTCD)とは経皮経肝胆管造影施行後に胆管内にドレーンを挿入し、外胆汁瘻を作製する非観血的な胆道減圧術である。

目的
•閉塞性黄疸のある患者にエコー下で経皮的に肝臓を通して胆道を穿刺し、造影剤を注入して閉塞,狭窄の部位を知り病変を知る。
•続いてドレナージチューブを挿入・留置し、外胆汁瘻を作成し、黄疸の軽減と全身状態の改善を図る
•高度閉塞性黄疸,重症胆管炎,切除不能胆道糸進行癌などで、肝内胆管が拡張している場合、胆汁誘導,胆管内容物の排除、薬剤注入,結石の切石・溶解や排除などの目的のため用いられる。

方法
•PTCDの穿刺方法には、X線透視下での穿刺と超音波誘導下での穿刺がある。
•穿刺部位は右側胸壁で、肝,胆のう,肝外胆管,大腸などを穿刺する危険がない部位である。

介助
1施行前
•PTCDの目的と方法について、医師の説明をふまえ再度説明し不安を軽減するとともに、患者の協力を依頼する。
•目標の胆管に穿刺し、ドレーンの挿入を行う間、肝の損傷を行わないように、呼吸をとめる必要があるので、10~15秒間呼吸を止める練習をする。
•検査後の安静保持(約24時間)のため床上排泄訓練を行う。
また、施行途中での排尿を防ぐために開始前に排尿を済ませておく。
•ヨードテストの確認:造影剤としてヨードが使用される。
過去にヨード剤を用いた検査を行っている場合は、そのときの副作用出現の有無を確認する。
この検査は施設によって実施していないところもある。
•検査時の嘔気・嘔吐,吐物による誤嚥を防ぐため検査前の飲食を制限する
‒検査前日の21時から絶飲食とする
‒飲食制限について前日のうちに患者に説明し理解を得る。
‒内服薬の中止については医師の指示を受ける。凝固剤は特に注意を要する
•不要ガス像を除去するため浣腸を行う
•検査前日に穿刺部となる石李肋部を中心に剃毛する。剃毛が終わったら、清拭を行うか入浴をさせる。
•前日までに腹帯と留置バックを準備する
•検査の必要物品を準備する(表1)
麻酔伝票,消化管造影伝票が発行されているか確認する
•検査時の穿刺針の刺入やドレーン挿入部の疼痛が強いので、痛みの訴えを受け入れる姿勢を持つとともに定期的に鎮痛剤を与薬することを説明し、不安や恐怖心を軽減する。
•患者を所定の検査用のガウンに更衣させ、仰臥位をとらせる。右上肢を挙上させ、肋間腔を広げる
•施行中の状態急変に備えて血圧計を装着し、輸液路の確保を行う。患者が検査着に着替えたら点滴も開始する。
•病室を出るときに、ストレッチャ―に移してから前投薬を施行する。
•塩酸ペチジン35mg1A+硫酸アトロピン0.5mg1Aを筋肉注射する
•患者をストレッチャ―で放射線室に搬送する。

2施行中
•血圧,脈拍の測定を行う。痛みや不安などショック状態と陥る患者もいることから、必要時測定し、そのつど励ましの言葉をかける
•ヨード剤過敏反応の観察:ヨードテストに使用する量は少量であることから、テスト時には反応が現れず、造営中に現れてくることがある。
膨疹,悪寒,悪心,嘔吐など異常を認めた場合、医師へ報告する。

3施行後
•帰室したらすぐにバイタルサインをチェックし、
創部の出血,腹部症状の有無を観察する。引き続き、出血,ドレーンからの排液状況を観察し、異常が出現したらすぐに医師に報告する。
•ドレーンチューブの固定状態も点検する
•検査後3時間は仰臥位安静とし、その後24時間は臥床安静とする。
•トイレは床上排泄とする。
•安静解除,飲水,内服,食事開始については、医師に確認する。
•患者には、誤ってドレーンチューブを抜かないように注意する。

4PTCDドレナージチューブの管理
術前に閉塞性黄疸にかかっている場合はPTCDなどで減黄し、全身状態の回復を待つ場合がある。
PTCD用チューブは、Tチューブやネラトンカテーテルに比べるとかなり細く、胆泥や胆砂によってつまりやすい。
また、固定が難しく抜けやすい(図2)
①チューブからの排液の性状,量の観察
②血性のときは胆道出血を疑い、バイタルサインとともに頻回にチェックする出血の増量やバイタルサインに変化をきたしたらすぐに医師に連絡する
A一般的管理
•処置後しばらくは安静,バイタルサイン,尿量,疼痛,発熱,悪寒戦慄,意識状態など
•血圧下降,冷汗などショック症状➝腹腔内出血の疑い➝血圧頻回測定,血液検査,輸液,輸血、止血剤大量投与,開腹手術
•発熱,疼痛,筋性防御➝胆汁漏出,胆道内出血による胆管炎の疑い➝PTCDチューブからの胆汁流出状況のチェック(洗浄・造影)
•悪寒戦慄,チアノーゼ,発熱➝菌血症➝ショック対策,抗生物質の大量投与,ステロイド
B胆汁排泄に関する管理
•胆汁量、性状、洗浄
•胆汁排泄に伴う体液,電解質アンバランスなどの注意と補正
•胆汁排泄が少ない,スムーズでない,混濁,緑色化あるいは血液混入の時➝PTCDチューブの胆管外逸脱,位置不良➝チューブの洗浄,造影➝チューブの位置修正,再 PTCD
•チューブの位置が適切で胆汁排泄が少ない➝肝細胞障害➝肝庇護
•胆汁排泄量が大量の時(2000~5000ml/日)➝肝の胆汁排泄障害,膵液の混入➝hypovolemiaの補正➝血液ガス,電解質チェック➝胆汁の腸内還元(経口,内瘻化)
●PTCDチューブの胆管外(肝外)逸脱:肝臓の吸収性移動による胸腹壁とのずれによる場合で、胆汁の腹腔内漏出により腹膜炎を生じ、患者はカテーテル挿入部痛を訴え、胆汁量の減少と緑色混濁化を認める。また、チューブの固定不良や患者の体動によるチューブの抜去もある。したがって、胆汁量,チューブの固定状況のチェックは必須である。
●PTCDチューブ挿入に伴う二次感染:チューブの管理は原則として無菌的に行うが、長期にわたる挿入では、適宜、胆汁培養を施行し、抗生物質の投与をする。
●水,電解質の喪失:流出される胆汁が500ml/日以上の場合は、水分,電解質のバランスに注意する
③順調な排出を促すために、訪室ごとに、チューブが体外で屈曲していないことを確認し、ミルキングする。流出しない場合、接続部で胆泥等が詰まっていることがあるので吸引して見る。それでも流出しない場合は胆管からチューブが抜けている可能性があるので医師に連絡する。
④チューブ内でのつまりを予防するために、胆管分岐部の過度の拡張や痙攣痛をおこさないようにして、滅菌された生理食塩水で1日20mlをこえない程度に毎日洗浄する。
⑤カテーテル挿入部からの感染を予防するために、毎日挿入部を消毒し、ガーゼ交換を行う。このとき胆汁漏出の有無を確認する。
⑥チューブの固定は、患者の体動によって圧迫されたり引きぬかれることがないように挿入部付近でループを1つ作って固定する。
⑦チューブ挿入翌日より疼痛を訴える場合には合併症を疑い、医師に連絡する。

生じやすい問題
胆汁のうっ滞により、黄染,皮膚掻痒感,全身倦怠感等の症状が強い
経皮的膵胆管ドレナージに対する知識がないため不安である
ドレナージにより、日常生活に制限があり、苦痛が生じている
PTCD施行により胆汁性腹膜炎,腹腔内出血等の合併症を起こしやすい
胆汁のうっ滞,乳遊物により閉塞が起こる可能性がある。
二次感染が起こる可能性がある
施行後1週間以内のチューブ抜去(自然抜去,自己抜去)は瘻孔が完全でないために胆汁性腹膜炎を起こしやすい
胆汁の成分であるNa,K,胆汁酸が体外に排出されるため、脂肪の消化吸収が損なわれ、下痢傾向となりやすい