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・薬物治療
現在薬物治療の中心は薬物治療である。前述のように薬物治療を行う際も精神療法を併用するとより効果的である。
身体合併症のある患者者では、特に副作用に注意して薬物を選択する必要がある。

*抗うつ薬
薬物療法の主体は抗うつ薬である。三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬に加え、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)が現実主に使用されており、うつ病の重症度や身体合併症、他の併用薬等を考慮して抗うつ薬を選択する。抗うつ薬の臨床的効果発現には1~2週間以上要することが多い。無効と判定するには十分量を使用して4~6週間を要する。患者の抗うつ薬の効果発現が遅い旨をあらかじめ説明しておく必要がある。他の抗うつ薬に変更して無効な場合や重症な場合は電気けいれん療法の導入を考慮する。

*リチウム
リチウム付加は難治性うつ病への(強化療法)として最も確立した治療法である。

*気分安定薬
抗けいれん薬でもあるカルバマゼピンは抗うつ薬抵抗性のうつ病に対して、単独投与もしくは抗うつ薬との併用で有効な場合がある。

*甲状腺ホルモン
甲状腺ホルモン値が正常範囲でも甲状腺ホルモン付加によって症状が軽快することがある。

*中枢神経刺激薬
メチルフェニデートは難治性のうつ病患者で有効な場合がある。
中枢神経刺激薬の使用にあたり、人格障害や物質乱用依存の併存がないか再評価する必要がある。

*ベンゾジアゼピン系薬物
昏迷時には静脈内投与を行う。
また、軽症うつ病や不安を伴う場合に少量のベンゾジアゼピン系薬物を投与する。
依存形成に注意が必要であり、症状軽快後には他剤への変更がすすめられる。

・電気けいれん療法
最も速効性があり奏効率の高い治療である。大うつ病患者のうち20~30%は抗うつ薬に反応しないが、電気けいれん療法の奏効率は80~90%に及び、薬物療法に反応しなかった患者の50%に効果がある。
精神病像を伴っている場合や昏迷を伴い場合、身体的問題があり薬物療法施行が難しい場合、自殺の危険性が高いばあいは電気けいれん療法のが第一選択の治療法である。
電気けいれん療法の副作用としては逆行性健忘や記銘力低下、施行後の困惑があるが通常一過性である。
電気けいれん療法で急性期治療をした後は、抗うつ薬やリチウムを用いた治療を継続する必要がある。

・光療法
光療法は、特に季節性うつ病に有効である。症状の季節性変動を伴う慢性大うつ病や気分変調性障害にも有効である。

・断眠療法
有効例においては効果発現が早く、半日で出現する。効果持続は1~2日と一過性で、薬物療法を併用する必要がある。

(2)継続療法
寬解期に病状が悪化することを再燃といい、再燃を防ぐために寬解期における治療を継続療法という。
症状が軽快し寬解した後も急性期治療と同様に十分量の抗うつ薬を6か月以上使用し、臨床症状に注意しつつ漸減する。
再燃のないことを確認して中止したあともさらに6か月経過観察が必要である。