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Ⅰ.検査の内容
①気管支ファイバースコープを鼻または口から挿入して、気管支壁を直視下に、あるいはテレビモニター下に観察する。
肺癌や気管支結核の診断にきわめて有効である。
②検査に要する時間は30分~1時間程度である。
③スコープの先端に接続した鉗子や針により、生検組織を採取したり、治療を行うこともある。

Ⅱ.検査の目的
①気管支粘膜病変の観察
②病理検査のための分泌物・組織の採取(TBLB)
③気管支肺胞洗浄(BAL)
④異物や気管支分泌物の除去
⑤気管支腔内や気管支壁内への薬液注入
⑥レーザーや高周波などを使った止血、病巣の焼灼除去

Ⅲ.検査前日までに済ましておくこと
①担当医師が、患者・家族に検査の必要性・方法・合併症の可能性などを説明し、検査の承諾書を得る。
②検査時の嘔気・嘔吐、吐物の誤嚥を防ぐため、検査前後の患者の食事を制限する。
このため、前日のうちに患者に飲食制限について説明し、理解を得る。
③午前中に検査を行う場合:朝食を延長とし、検査終了2時間後まで禁飲食とする。
ただし、薬の内服は可能。
④午後に検査を行う場合:朝食は半量摂取とし、お昼から検査終了2時間後まで禁飲食とする。
昼食は延長とし患者の希望により、検査後に摂取する。
⑤「食事をしないでください」と言う指示は、患者に“あめ玉やチョコレートなど溶ける食べ物なら大丈夫だろう”とか“牛乳やジュースなら大丈夫だろう”と誤って判断される場合がある。
「いっさいの食べ物や飲み物を口にしないでください。」と確実に伝え、禁飲食の意味を良く理解してもらうことが大切である。
⑥検査の必要物品を準備する。
⑦呼吸器内視鏡検査伝票が出ているかを確認する。
⑧鎮静・鎮痛のために塩酸ペチジンなどの麻薬を使用する場合は、麻薬伝票が出ているか確認する。
⑨患者は、検査に伴う苦痛への不安を抱きがちである。
患者の不安に耳を傾け、検査の進み方や、検査室の医師・看護師が患者の様子を見て適切な対応をとることなどを詳しく説明し、患者ができるだけ平静に検査を受けられるよう援助することが大切である。

Ⅳ.検査当日の手順
①内視鏡のチェックリストの事項を患者に確認し、リストに記入する。
②TBLB、BALを行う場合には、血管ルートを確保する(検査時の急変への対応を目的とする)。
③誤嚥などの事故を防ぐため、患者の義歯・眼鏡をかならずはずす。
④検査室に向かう直前に、バイタルサインをチェックし医師から支持のあった全投薬(塩酸ペチジン、硫酸アトロピン、ペンタゾシンなど)を行う。
⑤抗コリン薬である硫酸アトロピンは気管支粘膜の分泌抑制のために、また、ペンタゾシンは鎮痛目的で使用される。
⑥車椅子で患者を内視鏡室に移送する。
⑦呼吸器内視鏡検査伝票とチェックリストを一緒に提出する。(感染症の有無については、忘れずに記入しておく)。
⑧検査中は、患者の顔色、チアノーゼの有無、呼吸状態、頻脈の有無、血圧などの全身状態を観察する。

Ⅴ.検査後の注意点
①バイタルサインをチェックし、一般状態を観察する。
②検査の合併症を疑わせる症状出現したら、すぐ医師に報告する。
③検査後は状態に応じて安静を保てばよい。
④帰室して2時間経過したら、少量の水を飲ませ、むせないことを確認して、飲食を許可する。
(検査後は、咽頭、喉頭粘膜の表面麻酔にて咽頭蓋が麻痺しているため、1~2時間は誤嚥防止のために飲食を避ける)
⑤TBLB、BAL施行後、2時間経過して異状がなければ、点滴を抜去する。

Ⅵ.病棟ナースが確認すべき物品
・入院・外来カルテ
・IDカード
・内視鏡検査用チェックリスト
・X線胸部所見フイルム
・検査の承諾書
・のう盆(感染予防のためビニール袋のカバーをつける)
・ティシュペーパー(麻酔をするとき唾液などの分泌物を拭くため)

Ⅶ.気管支鏡検査の合併症
①気道粘膜の損傷 … 血痰、喀血
②気胸      … 呼吸困難、胸痛
③低酸素血症   … 呼吸困難、チアノーゼ、冷汗、冷感

Ⅷ.ポイント
①検査中の不整脈は、気管支鏡挿入に伴う低酸素血症に基づくことが多い。
②心電図モニタ、パルスオキシメータによるモニタを実施し、適宜酸素を投与する。
③経気管支肺生検直後、多量の出血を起すことがあるため、注意する。

〈参考文献〉
・クリニカル・ナースBOOK 最新 ケアがわかる検査マニュアル 検体検査、画像検査、臨床各科の検査と看護の手順 高木康
(株)医学芸術社 2004年1月
・Nursing Mook 呼吸器疾患ナーシング 松村豊 (株)学習研究社 2001年1月