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誤嚥性肺炎は嚥下機能異常によって気道内へ食物、嘔吐に伴い逆流した胃内容物よ口腔内常在菌を誤嚥、吸引することによって発生した肺炎の総称である。
誤嚥機能障害の原因疾患としては脳血管障害、嚥下機能不全を伴う神経変性疾患(パーキンソン病、認知症など)、口腔異常(口内乾燥、咬合不全など)、嘔吐や胃食道疾患(食道運動異常、胃食堂逆流、胃切除など)、経管栄養、薬物の影響(鎮静薬、睡眠薬)などがあげられる。
なかでも中大脳動脈穿通領域の脳梗塞が関与することが多い。
高齢者の肺炎の原因として多いが、急速に進行し致命率も高いので、急性期には適切な治療を要する。
安定期には嚥下機能を評価し、食事療法やリハビリテーション、外科療法などを考慮する。
胃液を含む胃内容物は酸性度が強く、化学的な肺炎を誘発し、メンデルソン症候群とよばれる。
また、気管挿管後48時間以上経過して発生する挿管時には認めなかった細菌性肺炎を人工呼吸器関連肺炎とよぶ。
人工呼吸管理に伴って鼻口腔や咽頭に繁殖した細菌が気道内へ吸引され発症する。

薬物治療
喀たんや気道吸引物を用いて細菌学的検査(グラム染色、培養)を実施する。
嫌気性菌を多く含む口腔内容物を誤嚥することが多いため、嫌気性菌にも有効な抗菌薬の投与を行う。
高齢者が多いので肝臓、腎臓機能に留意する。
経口摂取が禁止されるので栄養障害、脱水や電解質異常の補正も行うが、急速な補液は心不全の原因になるので注意する。
低酸素血症のも十分注意し、SpO2を90%以上保つように酸素投与を行う。

嚥下機能検査
高齢者には無意識のうちに繰り返す不顕性嚥下が多い。
食事と関連性のある発熱や肺炎を繰り返す場合には、下記の方法を用いて嚥下反射や機能、口腔内物が気道に誤嚥される様子を検出する。
方法としては、①水飲み試験(コップにはいった水10mlを飲む様子を観察する)、
②反復唾液嚥下試験や簡易嚥下誘発試験(嚥下運動がおこなわれるかどうか観察する)、
③嚥下造影、
④アイソトープを使用した検査、などがある。

リハビリテーション
個々の症例にあわせてリハビリテーションを行う。
間接訓練(食事を用いないで誤嚥を防ぐ効果的なせきや発声、嚥下運動などの訓練)や直接訓練(ゼラチンゼリーを用いた嚥下しやすい食事を用いた嚥下運動の訓練)を進める。

外科治療
胃瘻造設や耳鼻咽頭科的手術の適応を判断する。

口腔ケア
気道に嚥下する細菌を少なくするために、口腔ケアを行う。