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☆どんな処置か・・☆
・超音波ガイド下に、腹部の皮膚から肝細胞癌を穿針して純エタノールを注入し、腫瘍細胞を壊死させる。
・病室または病棟内の処置室で行い1時間程度で終了する。

☆処置の目的☆
・肝細胞癌の治療

☆処置前に済ませておくこと☆
・担当医師が患者、家族にPEITの必要性、方法、合併症の可能性などを説明し、承諾書を得る。
・必要物品を準備する。(表1)
✳前日までに、患者に腹帯を準備するように指示する。

・PEIT施行後から安静解除までの食事(主食)をおにぎりにするよう、栄養科に依頼する。
・処置後の安静保持のため、庄上排泄訓練を行なう。
・PEIT施行の前日に、乳頭部から臍部まで(幅は左乳頭から右側腹部まで)の範囲を剃毛する。
剃毛が終わったら入浴してもらう。
・午前中に行なわれる場合は、朝食を延食とする。午後の場合は、当日の朝食の摂取量を2/3とし昼食を抜く。
✳飲食制限について前日のうちに患者に説明し、理解を得る。
✳水分の摂については当日12時までとする。
✳内服薬は、当日の朝は服用し昼の分は中止する。

・患者はPEITに要する時間や苦痛への不安を抱きがちである。
患者の不安を受け止め処置の進行や医師、看護師が患者の様子を見て適切な対応をとることなどを詳しく説明し患者が平靜にPEITを受けられるように援助する。

《表1 病棟ナースが確認すべき物品》
・検査承諾書
・PEITニードル(21G)2本
・0、5%塩酸ブピバカイン(マーカイイン)20ml 1V
・1%塩酸プロカイン5ml 2A
・硫酸アトロピン15mg 1A
・ペンタゾシン15mg 1A
・滅菌純エタノール20ml程度         
・10%塩酸リドカイン10ml 1V
・滅菌四角布2枚
・延長チューブ3本
・腹帯
・ディスポ注射器(5ml、10mlを各2本)   
・冷凍パック(アイスノ                                   
・注射針(18G)
・カテラン針(22G)2本
・スキントレイ

☆処置当日の手順☆
➀朝、指示された点滴を開始する。
(点滴は、検査中の急変時にすみやかに対応する目的で行なう。)
➁時間になったら、患者を処置室に案内する。
➂処置台にあらかじめ腹帯を敷き、その上に仰臥位に臥床してもらう。
➃患者が処置台に移ったら、バイタルサインをチェックし、前投薬を施行する。
(硫酸アトロピン15mg1A+ペンタゾシン15mg1Aを筋肉注射する。)
➄消毒・麻酔を介助する。
➅医師がPEITを施行する間、看護師は患者の表情や、反応、一般状態に注意する。(疼痛を訴える場合がある。)
➆医師がエタノールの注入を終えたら、穿針部を消毒し、ガーゼで圧迫固定する。
そして、創部にガーゼでくるんだ保冷パック(アイスノンなど)を乗せ、腹帯で固定する。
➇患者をストレッチャーに移し帰室させる。
✳肝硬変や肝癌は自覚症状に乏しいまま進行する。検査・治療に伴う束縛感や苦痛への対応が重要となる。

☆処置後に注意すべきこと☆
・PEIT後1時間は、創部を下にした側臥位で安静を保ってもらう。その後は、仰臥位で翌朝まで安静とする。
・トイレは、翌朝に包交するまで床上排泄となる。
・処置終了後から、就寝時まで2時間ごとにバイタルサイン、一般状態をチェックする。異常の徴候が現れたら、すぐ医師に報告する。(表2)
・アルコールが血中に移行して酩酊状態になることがあるので、観察を十分に行なう。
・食事、内服の制限はPEITが終了すれば解除となる。(水分の摂取についても同様)
・処置翌日に血算データをチェックする。(特に、ヘモグロビン値、血小板、白血球数に注意する。)
・処置翌日の包交は医師が行なう。問題がなければ、以後は安静解除となる。

《表2 PEITの合併症》
合併症 症状
・腹腔内出血、出血性ショック
・門脈血栓
・胆管、門脈損傷
・肝膿症・血圧、意識レベル低下
・腹痛、下肢浮腫、腹水、黄疸
・腹痛、腹腔内出血
・腹痛、発熱、CRP・WBC値上昇
✳処置後の安静は、患者の安全に関わるものであることを説明し安静度を必ず守るようにしてもらうよう特に患者に注意してもらう。