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消化器系の検査・処置

≪大腸内視鏡検査とは≫
・肛門から大腸内に内視鏡を挿入して、回盲部までの大腸粘膜面の観察、小手術(ポリープの除去→内視鏡的ポリペクトミー)を行う。
・大腸全領域の観察をトータルコロノスコピー、S状結腸までの観察をシグモイドスコピーという。
・通常20~60分程度で終了する。

≪検査の目的≫
・大腸粘膜病変の肉眼的診断
・病変部からの生検による病理組織学的診断
・腫瘍などの小病変の切除(ポリペクトミー)

≪ポリペクトミーの適応≫
①大腸ポリープ
②開腹困難な患者
・高齢者、ハイリスク患者、ポリープから急性出血のある患者

≪ポリペクトミーの禁忌≫
①血液疾患、出血性素因のある患者
②著明な全身衰弱患者
③ペースメーカー使用者(使用器械の高周波発生装置に影響を及ぼすもの)

≪検査前に済ませておくこと≫
・担当医師が、患者・家族に検査の必要性・方法・合併症の可能性などを説明し、承諾書を得る。
・医師が前処置用の薬剤を処方する:
・ラキソベロン (大腸刺激性下剤)4錠、マグコロールP (塩類下剤)1包、ニフレック (腸管洗浄剤)1包、アセナリン (胃腸機能調整薬)9錠。
・検査前日の15時と18時に、アセナリン を3錠ずつ内服する。
・21時に、ラキソベロン 4錠を内服する。
・高齢者や便秘の患者に対しては、医師の指示によりマグコロールP1包+水500mlを加えることもある。

~ニフレックを使用した前処置~
ニフレックを使用した前処置は,施設によって少し異なる.例として前処置を以下に示す。
①検査前日は繊維の少ない食事をとる。とくに、海藻類、コンニャク、トマト(皮)、トウモロコシ、種のある果実などは避ける。
②前日夜9時に下剤センノシド(プルゼニド2錠)を内服する。
③検査当日の朝食は軽くするか、もしくはとらない。
④来院時、メトクロブラミド(プリンペラン2錠)を内服する。
⑤ニフレックを2000mヱの水で溶解し、最初の1000mlを約20分かけて服用し、次に残りの1000mlを1時間かけて服用する。
通常、1時間後に排便がはじまり、排便が完了して透明の水のような下痢になったら検査が可能である。
看護者の役割としては、初めての患者はニフレック2000mlという量に対して不安感をもつことが多い。
意外と飲みやすいことを説明し、励ますこたが大切である。
ニフレックはよく冷やしてあると飲みやすい。
あめなどをなめながら飲むと、ニフレック特有の臭みが取れて飲みやすいので、勧めてみるとよい。
・ニフレックを使用する場合は、検査前日の食事は普通食でよい:ニフレック は、腸管を洗浄する働きが強力なので、特別な検査食は不要である。

・検査前日21時に下剤を内服してから検査終了まで、禁食とする。
・飲食制限について前日のうちに患者に説明し、理解を得る。
・飲水は、お茶や紅茶程度ならば検査当日の朝9時まで口にできるが、牛乳やジュースは控えてもらう。
・検査当日は、朝と昼を禁食とする(これは午後に検査を施行する場合)。
・患者は、苦痛に対する不安に加えて、羞恥心を抱きがちである。
看護師は、訴えの内容に十分に耳を傾けた上で、検査の必要性をよく理解してもらい、患者が医師、看護師を信頼し、精神的に安定した状態で検査を受けられるよう援助する。
・血液型、末梢血検査(血小板)、出血性素因(出血時間、凝固時間、PT時間)のチェック
・検査の必要物品を準備する。

病棟ナースが確認すべき物品

≪検査当日の手順≫
①朝7時に、アセナリン 3錠を内服してもらう:腸管蠕動を促進するため。
②内視鏡チェックリストに必要事項を記入し、内視鏡検査伝票と共に内視鏡室に提出する。
・感染症の有無は必ず確認する。
③9時頃から、ニフレック 1包を水2000mlに溶かし、1~2時間で飲みきるようなペースで服用してもらう。
・ニフレック を服用し始めて間もなく、排便が起こり、何度かトイレにたつことになるが、服用は、便(排泄液)が透明になるまで続けてもらう。
・便秘など、腸管が詰まった状態でニフレック を投与すると、腸管の内圧が著しく上昇する危険がある。
投与前に、前夜から当日朝にかけて排便があったことを確認する。
④検査着(肛門部に穴の開いた検査用ズボン)を着用させる。羞恥心を考慮して、不必要な露出は避ける。
⑤検査前のバイタルサインのチェックする。
⑥患者を内視鏡室に案内する。
⑦検査に対する羞恥心を和らげる精神的介助も大切である。
⑧検査終了後、内視鏡室ナースから申し送りを受ける。
・ポリペクトミーや処置の有無、検査中の鎮痛薬、鎮静薬使用の有無を確認する。

≪検査後に注意すべきこと≫
●処置後は安楽な体位で安静にする(ポリペクトミー部位の安静を保持し、止血するため)。
●入院の場合は、車椅子で病棟に戻る。
●食事は流動食、粥食または低残渣食を摂取する。
●合併症(出血、穿孔)の危険性があるので、出血の有無、腹痛、血圧低下、脈拍等の観察をする。
(ポリペクトミーでは、出血、穿孔が生検後24~48時間後に起こることが多い。)

・患者が高齢である場合には、特に脱水などの水・電解質異常に注意する。
・ポリペクトミーを行った場合には、特に血便や腹痛などの症状に注意する。
・1~2時間安静とし、ポリペクトミーを行った場合は入浴は避ける。
・検査終了後は、検査前と同様に飲食できる。
ただし、ポリペクトミーを施行した場合は、一時的に禁食または制限食となることもあるので、医師の指示を確認する。

≪退院指導≫
①処置後1週間は、激しい運動をしない。
②消化のよいものを摂取し、硬い物、刺激物(アルコール、香辛料)、熱いものは避ける。
③下血、腹痛、著明な腹部膨満感があれば、すぐに連絡すること。
④1週間後、創の確認、および組織診断の報告のため、必ず来院すること。

≪参考文献≫
ナースのための臨床検査の実際[第2版]