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《どんな検査か》
・背部から腎臓に生検針を穿刺して、病理組織学的診断のための腎組織を採取する。
・超音波を用いて生検針を目的部位にガイドする方法と、IVPでⅩ線透視しながら行なう方法とがある。
・超音波を用いる方法は、病棟内の処置室で行ない、30分程度で終了する。

《検査の目的》
・腎疾患の確定診断、治療方針の確立
・腎疾患の病態の正確な把握、予後の判定

《検査前に済ませておくこと》
・担当医師が、患者・家族に検査の必要性・方法・合併症の可能性などを説明し、承諾書を得る。
・患者は、内臓を穿刺されることに対する恐怖感、痛みなどへの不安を抱きがちである。
このため、医師からの説明後、患者の不安などを十分に表出させ、看護師からも十分にオリエンテーションを行なうことが大切である。
・前日までに、背中の出せるパジャマと、腹部の圧迫に使うバスタオル3枚を準備する。
・検査前日に、検査後の安静保持のため、床上排泄訓練を行なう。
・体毛の濃い患者の場合は、検査前日に腸骨稜結合線から肩甲骨下角結合線まで(幅は背部全面)の範囲を剃毛する。
・剃毛が終わったら、入浴させるか、清拭する。
・検査の必要物品を準備する(表1)。
・前処置用の下剤(プルゼニドなど)や抗不安薬(セルシンなど)は医師が処方する。
・腎生検指示票、病理検査伝票が出ているか確認する。
・検査時の気分不快に伴う嘔吐を防ぐため、検査当日の飲食を制限する。
・腎生検を午前中に行なう場合には、朝食を抜く。午後からの場合には、昼食のみを抜く。
・飲食制限の内容を前日のうちに患者に説明し、理解を得る。
・お茶、コーヒー、ジュース、牛乳などを含め、飲水は禁止し、口渇が強い時は含漱で対応してもらう。
ただし、内服薬を服用する場合には、少量の水を許可する。
・内服を中止する必要はない。
・検査当日の夕食と翌日の朝食をおにぎり食にするよう、栄養科に依頼しておく。
・おにぎりとするのは、床上安静を保つ目的で、臥位のまま摂取できるようにするため。
・検査前日の21時に、下剤を内服させる。

《検査当日の手順》
①事前に用意したパジャマに更衣させる。
②医師より指示のあった時刻になったら、検査時の急変にすぐ対応できるように点滴ルートを確保し、指示された点滴を開始する。
・出血を抑えるため、止血剤を点滴内に注入する。
・成人用点滴セット、20G以上のジェルコ針を使用する。
③開始30分前に、抗不安薬(麻酔前投薬として)を与薬する。
④排便・排尿後、バイタルサインをチェックする。
☆超音波ガイド下に行う場合
⑤患者をストレッチャーで処置室に移送し、患者を処置台に移動する。
⑥患者の体位を固定する。
・背部を露出させて腹臥位とし、腹部にバスタオル2~3枚を丸めて当てる:腎臓を背側に圧迫固定するため。
⑦清潔区域を作り、消毒・麻酔を介助する。
⑧医師が超音波プローブを当てながら、生検針で穿刺・検体の採取を行なう。
・その間、看護師は患者の状態(バイタルサイン、顔色、表情など)に注意する。
⑨医師が検体を採取したら、検体をPBSびんに入れる。
⑩穿刺部を消毒した後、ガーゼを当てて圧迫し、その上に砂嚢1kgを乗せて、絆創膏で固定する。
⑪患者を静かに仰臥位にして、ストレッチャーに移す。
⑫病室に戻ったら、患者をシーツごとベッドに移す。
☆X線透視下に行う場合
⑤患者をストレッチャーでⅩ線室に移送する。
⑥レントゲン台にシーツを敷き、その上に患者を移動する。
⑦患者の体位を固定する。
・背部を露出させて腹臥位とし、腹部にバスタオル2~3枚を丸めて当てる:腎臓を背側に圧迫固定するため。
⑧点滴の側管から造影剤を滴下し始める。1/2以上滴下され、腎が造影されたら、点滴を本体と切り換える。
⑨清潔区域を作り、消毒・麻酔を介助する。
⑩医師がⅩ線モニターを見ながらツルカット針で穿刺・検体の採取を行なう。
・その間、看護師は患者の状態(バイタルサイン、顔色、表情、訴えなど)に注意する。
⑪医師が検体を採取したら、検体をPBSびんに入れる。
⑫穿刺部を消毒した後、ガーゼを当てて圧迫し、その上に砂嚢1kgを乗せて、絆創膏で固定する。
⑬患者を静かに仰臥位にして、シーツごとストレッチャーに移す。
⑭病室に戻ったら、患者をシーツごとベッドに移す。

《検査後に注意すべきこと》
・翌日まで、仰臥位で床上安静とする。
・トイレは床上排泄となる。
・安静臥床により、腰痛や不眠を訴える場合には、医師の指示により、鎮痛薬や眠剤を与薬する。
創部の安静を損なう恐れのあるマッサージは行なってはならない。
・検査終了から1時間後と2時間後に、バイタルサインをチェックする。
また、一般状態をアセスメントし、穿刺部からの出血、血腫の有無を確認する。
異常の徴候が現われたら、すぐ医師に報告する(表2)。
・砂嚢は、医師の指示に従って除去する。特に問題がなければ、帰室して1時間後にはずす。
・検査後から21時までは、排尿があるごとに試験紙で潜血の有無を調べる。また、排尿量や頻度などを記録する。
・血尿があっても、ほとんどは2~3日以内に消失する。
・飲食の開始は医師の指示による。
・特に問題がなければ、検査の1時間後から飲食が許可される。ただし、臥位のまま介助にて摂取するようにする。
・凝血による尿管閉塞を防ぐため、飲水を促す。
・検査翌日、血液データの結果により、医師の指示で点滴を抜去する。
・検査翌日に医師が包交し、データをチェックして問題がなければ安静介助となる。
・ただし、安静が解除された後3日間は、再出血を防止するため、できるだけ安静を保つよう促す。

《とくに患者に注意してもらうこと》
・床上安静が介助された患者は、症状がないため、安静を保たない場合がある。
3日間の安静の必要性をよく説明し、安静に努めるよう促す。